2014年10月23日付けの日経ホームビルダーの記事で、頭書のタイトルが付いたものを読みました。
以前の連載記事で、日本の住宅の窓は諸外国に比べて性能が大きく劣っていると書かれていたのですが、日本のマンションやビルの窓は木造住宅よりもさらに状況が悪いと、筆者の松尾和也氏は言います。
現在、日本の窓の売れ筋の7割は熱貫流率(以下U値)が4.65W/m2・Kと言われています。U値は1 m2(平米)で1時間当たりに通す熱量を表し、小さいほど熱の出入りが少なく高性能であることを意味します。
ガラスを二重にしたペアガラスを使って枠も樹脂製にしたサッシなど、実質的にU値が1.7W/m2・Kくらいまでであれば、国産でも1 m2当たり25,000円くらいで建て主に提供することが出来ると言います。(金額は、あくまで目安です)
ただ、同じ住宅であってもマンションや鉄骨造住宅の場合は、一般に鉄筋コンクリート造であり、構造体に溶接で取り付けるオーダーもののビル用サッシを使うのが一般的です。(窓の業界では、ビルと言えばマンションを含みます)
そして、新築マンションで標準的に使われるサッシは、ペアガラスを使用していてもU値は4.65W/m2・Kレベルの低性能。それは、断熱性の高い樹脂や木製を使わず、溶接出来る金属が使用されるから。下手をすると、いまだにシングルガラスを使っていると言います。
ここまでは木造住宅の世界と似たり寄ったりですが、問題は価格です。ビル用のサッシは注文生産である上、木造住宅用に比べて肉厚であることもあり、非常に高価です。一般的に性能が同程度であれば、木造用サッシの4倍すると考えてちょうどいいくらいらしいのです。
U値1.7W/m2・Kの窓を1m2当たり25,000円で使える木造の世界と、U値4.65W/m2・Kの窓を65,000円もかけて使う鉄骨造もしくは鉄筋コンクリート造の世界。
木造は構造体や部材でみて低価格であることに加えて、断熱面でも大きなメリットがあります。木は鉄やコンクリートに比べて熱が伝わりにくいため、安価な断熱材を使った充填断熱でもかなりの断熱性能を得られます。
更に、窓でも性能で差がつきますから、それによって完成後の冷暖房費にも大きな差が付くということなんですね。(特に夏場は、鉄やコンクリートが蓄熱するので大変です。また、ガスや石油ストーブの湿気による冬場のサッシ結露も、シックハウス的には問題ですが・・・)
耐震性を考えて、鉄骨造にする人もいらっしゃると思いますが、輸入住宅に採用される2x4工法のような木造構造でも十分に耐震性が実証されている現在、環境性能や居住環境の問題も家づくりの中で考えてみる必要があるかも知れませんね。
だって、いくら丈夫でも50年後に解体されるような日本の家づくりであれば、あまり意味はないように思いますから。(解体費用も、鉄骨やコンクリート造は高く付きますよ)
因みに、私たちが輸入住宅で施工する輸入のトリプルガラス樹脂サッシは、1.07 W/m2・K(ダブルハング・ピクチャー窓)という高性能な数値を叩き出します。
そう言えば、以前マンションに住んでいたうちのお客さんが、エアコンの冷暖房費がその時月8万円だったので、今全館空調で月3万円になってビックリしたなんてことも言ってたよなぁ・・・。
<関連記事>: トリプルガラスの輸入樹脂(PVC)サッシ (2013年10月5日)
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