普通、住宅というものはコンクリートで出来た立ち上げ基礎(布基礎)の上に壁(柱)を立てたり、床組みを載せたりして構造体を造ります。最近は、ベタ基礎と言って耐震補強された鉄筋入りのコンクリートで床下全体を覆ってしまってから、その上に立ち上げ基礎を載せる工法を施工するのが一般的になりつつあります。
いずれのやり方にしても、床下では基礎のコンクリートが露出していて、人が入れるだけの通気空間が取れています。
でも、図にあるように布基礎の床下側に土を入れて、布基礎の上端近くを土間コンクリートで敷き詰めたスラブ工法では、床下には通気空間は取れません。つまり、空気の流通が全くないのが、スラブの特徴でもあるのです。
スラブ床は、土地の地熱が直接家に伝わるように考えられた工法ですが、布基礎とスラブ・コンクリートは一体成型では造られていませんから、その間に割れや隙間が生じます。そこから土の中に巣くっているシロアリが、侵入してきたらどうなるでしょうか。
私が以前営業マンとして勤めていた工務店でも、そういう問題があることを工務や社長が知らずにスラブ床を施工した時があって、私自身が痛い思いをしただけでなく、お客様にも迷惑を掛けてしまったという苦い経験があります。(普通ならこういう話は伏せておきたいところですが、世間にこういう問題を公開することで、誰かの役に立つかも知れないという思いで書いています)
図の場合、布基礎の周囲をポリスチレンの断熱材で覆っていますから、簡単にそれを食べて上へ上へとシロアリが上がってきます。床下は勿論ですが、基礎の外側のポリスチレンの表面もモルタルで化粧してありますから、侵入を早期に発見することが難しいのです。
スラブ床は、地面の湿気が室内に直接入り込むという性質もありますから、湿気の多い場所で施工するには問題があるのです。ポリエチレンの防湿フィルムを張ってはありますが、薄いビニールですから、必ずいつか破れてくるというのは誰の目からも明らかです。
また、床下の上下水やガスの配管のメンテナンスがほぼ不可能というのもスラブ床の欠点でもあります。
土地の湿気が少ない地方で、建物の周囲にシロアリのコロニー(巣)が存在しない敷地で、壁からインフラの配管を取り入れているという住宅なら、問題はありませんよ。でも、そんな家が、日本のどこにあるのかを私は知りません。
シロアリや湿気・結露・カビの問題でお困りの方は、お問い合わせ下さい。何らかのベターな解決策を見出すべく、一緒に対応を考えますよ。
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