兵庫県芦屋市の方からミルガード社の上げ下げ窓のメンテナンスについて相談を頂いた。
シングルハングの樹脂サッシなので、湿気や結露に強いということで浴室に取り付けられていたようだ。確かにフレームが樹脂(PVC)ですから、錆びたり腐ったりすることは全くない。でも、金属部品が全く使われていないということでもないのである。
シングルハングやダブルハングのサッシであれば、窓枠フレームの内部にバランサーと呼ばれる建具の吊り金物が仕込まれているし、横に開くケースメント(ケースマスター)やオーニングのサッシであれば、オペレーター(ロトアーム・ギア)と呼ばれる開き金物が使われている。
こうした部分は、亜鉛メッキや塗装が施されてはいるが、常に水分に曝されているとどうしても錆びて劣化してきてしまう。
でも、最近は空調設備の一般化や花粉症の増加などで、窓を開ける機会が少なくなり、こうした金物を見ることなく過ごしている現状がある。前にも述べたが、見えない部分に水分が入り込むとなかなか外には抜けてこない。その場所に滞留してしまうのだ。
だから、そのうち写真のようにバランサーが錆びついて、バネが劣化したり、糸切れを起したりしてその機能を失ってしまう。そうなると、いざ窓を開けたい時に開けられないということになる。特にお風呂場でこうなってしまうと、浴室内の湿気が壁や天井に付着して、カビや細菌の発生原因となるから大変だ。
このお客様の場合、そうなった後も騙しだまし使っていたのだが、つっかえ棒をして開けておいたサッシが何らかの原因で勢いよく下に落ちてしまい、ペアガラスも割れてしまったのだ。これでは、セキュリティ上の問題まで出てきてしまう。バランサーさえ交換しておけばこんなことにはならなかったのだが、お客様はバランサーの交換方法さえ分からない。
つまり、この輸入住宅を建てたビルダーは、何らケアの仕方を教えていなかったのだ。もしかしたら、ビルダーも交換するなんてことを知らなかったのかも知れない。でも、きっとこういうことって、住宅業界においては普通のことですよね。それも国産や輸入に限らず。
如何に日本の住宅メーカーがメンテナンスについて情報提供していないか、家に住んでいる皆さんが自身でメンテナンスしようと考えていないかがよく分かります。耳の痛い話ですが、これは双方に原因があります。まあ、日本人の住まいに対する文化の問題かも知れません。
欧米の人たちのように、DIYで自身の家を守り、造ったビルダーも定期的にケアをしていく心構えが、これからの日本人には必要な気がします。
どんなものでも人間が作ったものに永遠はありません。窓やドアなどの部材は消耗品と考え、10年ごとに点検し劣化したものは壊れる前に交換しましょう。
こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。窓やドアの修理・メンテナンスの概要は、リペア&メンテナンスのページをご覧下さい。
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