損保大手、火災保険「10年超」来秋にも停止へ 異常気象増で収支悪化

損保大手、火災保険「10年超」来秋にも停止へ 異常気象増で収支悪化

損害保険大手が、10年を超える期間の火災保険の新規契約引き受けを来年秋にも停止する方針を固めたことが13日、分かった。異常気象による建物被害が増加傾向にあり、長期契約での収支予測が難しくなったためだ。現在、最長で36年の保険契約は、制度変更後に最長10年となる。住宅購入時に住宅ローンの期間に合わせて長期契約するといった消費者の選択肢は狭まる。

火災保険は住宅や店舗などの建物が対象で、火災や風災のほか、洪水や土砂崩れによる水災で受けた建物の被害を補償する。

すでに最大手の損害保険ジャパン日本興亜や三井住友海上火災保険などの主要社が、10年を超える新規契約を「来年度にはやめる」(大手首脳)方向で最終調整しており、業界各社に広がる見通し。制度変更の時期は来年10月が有力だ。

制度変更後も、すでに契約済みの保険は引き続き有効だ。火災保険は1年単位で契約できるが、長期にわたる契約を希望する場合は、最長となる10年契約を更新していくことになる。

背景にあるのは、異常気象の増加だ。集中豪雨の頻発や都心部での大雪などによる住宅への被害が増え、保険会社は保険金の支払いが増えて火災保険の事業収支が悪化。「将来の収支予測が難しくなった」(損保幹部)とされ、長期契約での保険金支払い規模が予測できなければ、保険会社に求められる安定的な事業運営が難しくなるという。

保険料は、損保各社から収支データを収集している損害保険料率算出機構が改定する「参考純率」を参考に、損保各社が決める。機構が実施した7月の改定では、参考純率を平均3.5%引き上げる一方、この数値が「保険期間が10年までの契約に適用できる」として、10年を超える保険の参考純率を示さなかった。

損保会社は住宅購入者に対し、35年などの住宅ローン返済期間に合わせた火災保険契約に割安なプランを提供している。

来秋以降、契約期間が10年以下に限られれば、価格面や利便性をめぐる新たな形の競争が促される可能性もある。

産経新聞2014年 9月14日

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