昨日の未明に広島で土砂災害が発生した。局地的な集中豪雨によるものらしいが、時間雨量は100mmを遙かに超える凄まじい状況だったそうな。まあ、こんな状況の中、避難勧告なんて言われても誰も逃げられる状況ではなかったと思うが、この地域の土砂は雨で崩れやすいということが分かっていたという。
そんな土地でも山は切り崩され宅地として開発された後、新しい住宅やアパートが建ち並ぶ状態になった。恐らく耐震基準も最新のもので構造は造られていたでしょうし、基礎や地盤の補強も行われていたであろう住まいが、ことごとくそれもあっけなく崩壊し押し流されてしまったのを見て、皆さんはどう思われたであろうか。
水害だから仕方ないという向きもあろうかと思いますが、耐震や耐火ばかりに偏って、風水害や津波などの他の自然災害に何ら対応出来ていない建築基準法って、どうなんでしょうねぇ?
報道だと、この地盤の危険性は認知されていたけど、ハザードマップすら作られていなかったそうな。そんなのがあったら、地価は下がるし家が建たないという逆の危機感があったんじゃないかと勘繰られても仕方がない。
国土の状況に応じて、建ててはいけない場所を設定するなり、建てるものを限定するなり、建築に際しては山や川、海からの被害を食い止める施策を実施した後でしか出来ないように制限するなど、建物以外の基準を作っていかなければ、温暖化していく日本に対応出来ないと私は思う。これからは地震に対応しているだけではダメだってことが、思い知らされた災害でした。
確かに費用や権利の問題もあるだろうが、家を建てる人ばかりに負担を強いる基準法であってはいけないとも感じる。昨日見たNETに、姉歯の耐震偽装の話を書いているのを見たが、耐震性に問題ありと判定されたお台場のマンションは、東日本大震災でも割れ一つ入らなかったという。
そんなオーバースペックで設定された耐震基準ばかりを消費者に義務付けているのが、日本の行政だし住宅業界なんじゃないかと斜めに見てしまうのは私だけじゃないと思う。
火山や原発の被害が予想される地域は住めないとか、確認申請の際ハザードマップで場所を明記するとか、化学物質を排除したものしかインテリアには使っちゃいけないとか、デザインが街並みに合わない建物は認めないとかいう耐震以外のアプローチが建築基準法にあってもいいと思う。
建築を耐震や耐火ばかりに求めるのではなく、もっと多様な考えに基づいて建築する国じゃなければ、安全で豊かな日本にはなっていかないんじゃないかなぁ・・・。
私のこうした考えは、少し極端で過激かも知れませんが、どんなことにもこれでいいのだろうかという目を持っていなければ、ただ家を造るだけの人間でしかありません。理念や理想に向かって家づくりを考える行政やビルダーが、少しくらい日本にいてもいいじゃないですか。
ところで、今回の豪雨災害は、火災保険では水害に当たる。標高が比較的高い山側だからと水害特約を外してしまうと、損害を保険でカバーすることが出来なくなるのでご注意を! ご意見のある方や保険内容でご相談のある方は、お問い合わせ下さい。
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