梅雨で湿気が多くなったせいか、外壁の塗装(もしかしたら塗り壁材かも知れない)が変色し、浮いてきている住宅を見かけた。
ご覧頂くと分かるように、コンクリート・サイディングが張られた90cm幅の目地のラインで見事に汚れてきている。通常、コンクリート・サイディングは、目地が見えるようにわざと張るのだが、この家は目地をコーキング材かパテ材で埋めて、一枚壁に見えるようにしてから、塗装(塗り壁材)を施工してある。
こういう施工をすると、地震や気温の変化、家自体の荷重によって目地(ジョイント)が動いてしまった場合、表面の外装材が割れてしまう。国産サイディングのつなぎ目はカギ状になっているので、目地が多少動いたところで防水性に問題はないが、クラックが入った外壁は見ために悪い。
しかし、この場合は、ジョイント部分が動いたというだけでは説明がつかない。それは、目地だけでなく、その周辺にも汚れや剥がれが広がっているという点が、何かこの住宅の基本構造の問題を疑わさせる。
コンクリートで出来たサイディングは、水分を含みやすい。これは推測に過ぎないが、何らかの原因でサイディングの内部に雨が侵入し、表面に外装材を施工したことでその水が外に出られず中で膿んでしまい、汚れの原因となるカビなどを発生させた。その結果、表面の外装材にも影響が出てしまったのではないだろうか。
前にも記事に書いたが、外壁の内部に通気層を取らないでサイディングを構造体に直貼りした場合、こういうことが起こりやすい。
ただ、軒の直下でも目地の汚れが発生しているところが不思議でならない。屋根(屋根裏)の結露が、外壁を伝って広範囲に問題を起こしたということも考えられるが、写真右のバルコニー部分には屋根がない。ここにも汚れや剥がれが露見されるという点は、屋根裏の結露では説明が付かないのだ。
矩計図などの設計図を確認したり、実際の施工がどのように行われたかをチェックしたりしない限り、原因がはっきりしない。最終的には、外壁を剥がして内部を確認しなければいけないのかも知れないが、築数年の住宅にとっては費用的にも精神的にも少し酷な状況であることは間違いない。
何軒も同じデザインの家が並んでいて、同じトラブルがどの家でも見られることから、同じビルダーによって販売された分譲住宅だと思われる。建築屋のモラルって、どうなっているんでしょうねぇ。
安売り、建売りの怖さは、契約時には分からないですから、パートナー探しは難しいですよね。家づくりは修行です。買う側の心も試されています。
私たちの家づくりへの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。こうしたトラブルに対する修理についても、出来る限り協力させて頂きます。
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