先日、マーヴィン社製の掃出し窓の上に取り付けてあった雨戸シャッターが、脱落してきたという記事を書きましたが、昨日室内側からも石膏ボードを開けて、外壁の構造内を確認してみました。
やはり、案の定、壁の中に雨が入り込んで、中に施工されていたグラスウールの断熱材や柱材(スタッド)も濡れてグチャグチャでした。前の所有者の時、窓か外壁かに漏水があったということで、サイディングを張り替え、その上からレンガ・タイルを張っていたにも拘らず、中途半端な改修工事でまた同じような状況になっているのは、日本の近代建築技術の未熟さを改めて感じました。
ここを建てた会社は、輸入住宅を全国展開して有名ブランドともなりましたが、経営手法を誤ってしまったが為か、15年以上前に倒産したフロンヴィル。今でもこの名前でビルダーをやっていらっしゃるところもありますが、名前を買ったり、フランチャイズで経営権を手に入れたりした建築会社ですから、この家や倒産したところとは直接関係はありません。
ですから、以前の所有者の方も、新築時のビルダーにリコールや補修をお願いすることも出来ず、関係のないどこかの工務店にお願いされたのでしょうが、その会社もいい加減だったということです。どちらの会社も外壁材は、防水紙を張った構造用合板の上に直貼りして、何も外壁通気を施工していませんでしたし、防水処理や施工手順が間違っていたという状態です。
そして、実はこのおうちの屋根裏部屋の外壁やサッシ周りに問題があるんじゃないかということで、石膏ボードを一部撤去した様子がこの写真です。
まず、ビニールクロスを張った壁を叩いてみても、石膏ボードが浮いているような感じだったんです。そして、固い柱がある時の鈍い音が全くしませんでした。また、何故かその時家が揺れるという状態も、何かがおかしいと判断した理由の一つです。
通常は、最後の砦の防水紙で何とか持ちこたえるはずなんですが、一旦中に入り込んで他に逃げ道のない雨水は、外壁材を打った釘穴や防水紙の隙間をつたって構造用合板を濡らします。
ここは、風も通らない密閉状態に近い空間ですから、少しずつでも水はどんどん蓄積されて、やがて構造用合板を通過して内部のグラスウールや2x4工法の柱材をも濡らしていきます。
多くのビルダーは、室内の湿気が壁の中に入らないようにと、石膏ボードを張る前に今でも薄いビニール・シートのベーパー・バリアを施工します。確かに、室内の湿気は入りにくくなりますが、一旦壁の中に水分が入ってしまうとそこから出られないのが、このベーパーバリアの危険なところ。
つまり、もろ刃の剣という訳です。
ベーパーバリアで守られた室内は、壁の中から水が浸みてきませんから、その危険な状況に住人は全く気付きもしません。だから、別の問題があった時に、偶然こうしてふと見つかるのです。
自然の摂理に基づいた施工や、素材そのものも自然のものを使わない限り、こうした問題はなくならないでしょうね。
あと、こんな状態でもシロアリは全く入っていませんでした。これだけ濡れているとシロアリさえも住めない状態だったのかも知れません。何せ、水分を含んだ柱(スタッド)が、カビや腐朽菌でスポンジや豆腐のようにフワフワでしたから(大袈裟ではないですよ・・・)。
限られた予算の中で、出来得る限りの補修をしてあげなきゃいけません。いや~、心が痛むし、施工も大変です。築20年。静かに進行する構造体の壁体内結露って、怖いですよ。何か心当たりのある方は、一度チェックされることをお勧めします。
これは、木造だけの話ではありません。鉄骨やRC造でも雨漏りがあれば、構造はすぐ腐食するのです。何かお困りの方は、ご相談下さい。
関連記事: こんな施工をする建築屋は、長くは続かない(2014年6月11日)
関連記事: 外壁(外装)材の直貼りは、リスクが高い (1)(2013年8月31日)
関連記事: 壁体内結露の発生原理 (2012年11月26日)
関連記事: 費用は掛かるが、壊さずに済みますよ (2018年2月6日)
窓やドアの修理・メンテナンスの概要は、リペア&メンテナンスのページをご覧下さい。
※ この「お知らせ」ページは、「カテゴリー」や「タグ」のキーワードをクリックすることによって、興味のある関連記事を検索頂けます。どうぞご活用下さい。尚、写真及び記事の著作権は、当社に帰属します。無断での転載・引用はご遠慮下さい。