サイディングの目地(ジョイント・ライン)には、意味がある

サイディングの目地(ジョイント・ライン)には、意味がある

昔、プロヴァンス風とか南フランス風とかいう感じの輸入住宅が流行した時、やたらに塗り壁の外壁にする家が多かったですよね。中には、わざと扇状にコテ跡を残して仕上げた塗り壁などもありました。最初は、もの珍しくて面白いと思った方も多かったと思いますが、最近はやる人が減ってきています。

まあ、わざとらしくそんなコテ跡を残した建物は、プロヴァンスにも南フランスにもないですからね。技術や素材のせいで、デコボコしたり、何らかのコテ跡が付いてしまったりしただけで、フランスの人も出来るだけきれいに外壁を仕上げたいと思っていたはずです。

そんなことはさて置き、昨日歩いていたら面白い外壁の参考例を目にしましたので、ご案内しましょう。

それが、この写真。左の方は、3尺x10尺(尺=約30cm)のコンクリート製パネル・サイディング(通称「サントウバン」)に塗装して外壁を仕上げています。右の方は、このパネル・サイディングを張った上に塗り壁材を塗って外壁を仕上げています。

左の方は、パネルとパネルのつなぎ目に防水用の水切りやコーキングが入れてあり、サイディングの目地(ジョイント・ライン)は露出していますね。右の方は、そういったジョイント・ラインをなくして、1枚の平面な壁に見せようとしたのでしょう。

でも、何年か経って、どうなるか? お分かりのように、コーキング材の成分が中から浮き出てきて、外壁に汚れた線を作ってしまっていますよね。

また、こうしたジョイント・ラインでは、地震や建物の垂直荷重の影響を受けて、コーキングや塗り壁材にヘアー・クラックが入ってしまったりします。そう、このジョイント・ラインは、言わば壁材の遊び(必要な隙間)なんですね。

ですから、外壁にサイディングを張る場合は、へたにこのジョイント・ラインを隠すような仕上げにはせず、堂々と見せるようなデザインにした方がいいと思います。(サイディングを張らずに塗り壁材だけで仕上げるのは、論外ですよ)

勿論、こういった壁の動きに追随出来るような柔軟性のある塗り壁材、「スタッコ・フレックス」という材料もありますが、許容範囲を超えた動きには追随出来ないことを理解しなければいけません。

また、デコボコした表面に仕上げると、どうしても雨や排気ガスの汚れが付着しやすくなることも覚えておいて下さいね。(両方の壁の劣化状態を比べると、分かりやすいかも知れません)

そういう場合は、塗り壁材を再度塗り重ねたり、パラペイントのリフォーム用の下塗りプライマー、「#777 Super Stick」や更に強力な「#888 Super Adherent Primer, Block-Out」を塗ってから外壁を仕上げることをお勧めします。これらは、下地の汚れが浮き上がってくるのをシャットアウトして表面に出さないという特性を持っています。これは、国産のプライマーにはない性能でもあります。

単純にサイディングの外壁と言っても、いろんなことがあるんですねぇ。レンガ積み外壁なら、こういった問題から解放されるんですがねぇ(笑) 新築をご計画の方や家のメンテナンスでお困りの方は、お問い合わせ下さい。

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