コンクリートの下地でも安心出来ない

コンクリートの下地でも安心出来ない

6月11日にレンガ・タイル張りの家の雨戸シャッターが脱落してきたという記事を書きましたが、もう少し詳しく状況を見てみましょう。この写真を見ると、雨戸シャッターの下の木質サイディングもスライス・ブリックの下のコンクリート・サイディングも、防水紙の上に直接貼る「直貼り」だったことが分かりますね。

また、木質サイディングとコンクリート・サイディングとがぶつかる接点に防水的な気遣いがされていなかったことも分かります。(防水紙は、その接点ラインで切れ目(ノコ目)が入っていますし、雨戸シャッターの周囲をコーキング処理してあるだけで、このコーキングが劣化して切れてきた際の手当が何も考えられていないといった状況でした)

以前記事にも書いた通り、外壁材の内側に通気層を取らない施工(直貼り工法)は、万一雨が外壁内に侵入した時には雨漏りや外壁の劣化、最悪構造材の腐食を引き起こすこととなります。

レンガ・タイルを構造体に直貼りせずに、コンクリート・サイディングを下地に張ってあるから雨漏りは問題ないだろうと考えたのでしょうが、このようにサイディングのつなぎ目が動いてしまい割れが入っていては、雨の侵入を防ぐことは出来なくなります。

当然、割れが入った部分で、上に張ってあるレンガ・タイルも一緒に割れて剥がれてしまいました。

この家の場合、更に悪いことが重なりました。それは、構造体の柱の間隔が北米と同じ407mmであったことです。通常、日本の2x4工法では、柱の間隔を455mmとするのが一般的ですが、間隔が狭ければそれだけ柱の数も多くなるので、強度も増すという考えで407mmのピッチで施工する輸入住宅ビルダーも多くいます。

それはそれでいいことではありますが、国産のコンクリート・サイディング(パネル・タイプ)の大きさは、910mmの幅で造られています。柱が455mm間隔であれば、サイディングのつなぎ目と柱の位置が丁度重なり、サイディングのつなぎ目を柱に釘等で打ち付けることが可能です。

でも、柱が407mm間隔であれば、サイディングのつなぎ目と柱の位置がずれてしまい、つなぎ目を柱に釘等で打ち付けることが出来ません。つまり、ジョイント部分が釘打ちされても、12mmの厚さしかない構造用合板にしか釘が利いていないということになります。

だから、季節の温度変化や地震、家自体の重みなどで、少し家が動いてしまうと、外壁材のつなぎ目が割れてくるということになってしまう訳です。ここでも、外壁の通気工法を採用して、胴縁というスペーサーがサイディングのつなぎ目に当たるように入れていれば、動くリスクも減らせたでしょうし、外壁内の乾燥を促すことも出来たと感じます。

確かに直貼りすれば、それだけ手間も減らせますし、お客さんに提示する見積金額も少なく出来るでしょう。お客さんは、同じ見栄えで見積が安ければ、そちらを選ぶのは必然ですが、それだけで住宅メーカーを選ぶのは危険です。

勿論、名の売れた有名メーカーだから安心ということもありません。広告・宣伝やブランドと、技術や知識は別ものです。実際、この家を建てた新築時のビルダーは、名古屋の輸入住宅では、相当有名どころですからね。(何年か後に外壁が雨漏りをしたことで、レンガ・タイルの外壁に造り替えたのは、別の業者さんですが・・)

どうやってそれを見極めるかは、こうした情報をHPやブログを通して、ちゃんと公開しているかを確認したり、直接話を聞いたりすることで、そのビルダーの技術や知識レベル、誠実さや人間性を確認する以外方法はありません。

いくら安く造っても、10年しないうちに雨漏りしたり、壊れたりしてきたりしたら、それ以上の心労やお金が必要となります。さて、皆さんは、どこで家づくりをお願いされますか? 今でも外壁は、レンガ積みよりレンガ・タイル(カルチャード・ブリック)張りの方が安くていいと思いますか?

こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。

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