外壁(外装)材の直貼りは、リスクが高い(2)

外壁(外装)材の直貼りは、リスクが高い(2)

以前にも同様のリスクについて記事を書かせて頂いたが、窓の周囲の外壁にカルチャード・ブリック(人造レンガ・タイル)を張って仕上げた住宅のトラブルが発生した。

お客様からの連絡は、先日雨が降った際、窓の上の方から雨水が家の中に入ってきたというものだった。

うちの工務担当が伺ってみると、窓本体というよりもその周囲のブリック・タイルから雨水が侵入してきているようだという。

そこで、今回窓の周囲に回していた平板の白いモールディングを外し、アルミ・クラッドの輸入サッシをも一旦撤去してみた。

その状態が、この写真だ。木が腐食したり、食われたりしたところやたくさんの土が散乱しているのがお分かりか。

まずは、防水性のないコンクリート製のカルチャード・ブリックやその下地となっているモルタルを通して、少しずつ水分が窓周りに蓄えられたのではないかと考えられる。

その後、恐らくシロアリが湿潤で通気性のない環境を好んで住みつき、それを追う形で黒アリがシロアリを駆逐したのではないかと思う。何故なら、シロアリは蟻道を作る為に土を持ち込む。だが、現在の状況では、シロアリの姿は全く見えないのだ。

北側にある窓なので日当たりはあまりよくないが、それに追い打ちを掛けるように、スライス・ブリックの直貼りという不十分な施工が行われていたところが問題だと思う。

モルタル塗りやジョリパット仕上げといった塗り壁材でも同様だが、下地にサイディングを施工しないで構造に直接外装の材料を施工する仕上げ工法は、必ずその表面にひび割れを生じる。

そこから侵入した水は、中へ中へと入り込んでなかなか外には抜けなくなる。雨を完全にシャットアウトしようという考え方は、一旦水が侵入すると逆に働くというパラドックスを生んでしまう。

(日本の住宅メーカーは、あり得ない完全防水ばかりに気を取られて、万一侵入した時の対策を全く考えていないのだ。侵入することを前提に家づくりを考える、それが建築本来の在り方なのです)

常にジクジクした状態となる構造部分は、やがて劣化や腐食・腐敗を起し、最後には漏水や虫食いの被害に遭う。それは、内部で静かに進行するから、すぐには問題が分からない。

手を抜いた安上がりの仕事は、新築の際には分かりません。10年経った時、事の重大さが分かってきます。

あと、このような状況を防止する為には、シロアリの駆除剤を撒けばいいと考える方もいらっしゃるかと思いますが、いくら駆除剤を使っても、食べるものがなければそれをも食べてしまうのが、シロアリだということを忘れてはいけません。

施工と材料という根本の問題を解決してこそ、被害を最小限に出来るのです。勿論、予算等の都合もあるでしょうから、やれる範囲の最大限有効な手立てを考えることが重要です。ただ、付け焼刃の仕事は、お金を掛けるだけ無駄となります。

安くていい仕事をしますなんて言うビルダーを、これでもあなたは信用出来ますか?高くても技術が低い建築屋も多くいますが、ローコストには必ず訳があるのです。

復旧・改善する私たちの苦労や手間、そして皆さんの心労を考えたら、家づくりのパートナー選びが肝心だということが分かりますよね。

さて、私たちはどんな施工でこの問題を解決するのでしょうか。それは、またの記事をお待ち下さいね。

関連記事: 外壁(外装)材の直貼りは、リスクが高い (1)
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