とかく日本では、建物が古いとゴミのように扱われる。
皇后美智子さんのお里である正田邸の建物も、つい何年か前に周囲の反対を無視して取り壊された。戦前のモダンな洋館建築で、日本の価値ある財産だと私は思っていましたが、保存する金と価値がないと判断されたのは残念だ。
有名建築家の設計による赤坂プリンス・ホテル新館なども、やはり耐用年数が来る前に壊されました。(海外だったら、多分新品同然なんでしょうね)
結局、戦後の日本で建てられた建物が、安普請で耐久性が低く、デザインもその場の流行だけを意識したものとなってしまったことで、20年もすると色あせてしまうものだったことが、建物というものの価値を異常に低くしてしまった原因なんでしょう。
ただ、そうした現代日本でも、価値を見出し、古い洋館を残そうとする人たちも多く存在する。先日名古屋市近郊のとある洋館を見る機会があって、その窓を撮った写真がこちらです。
木製の窓枠に古いガラスがはめ込まれていました。ガラスには気泡が入っていたり、厚みが違って少し歪みがあったりしていましたが、まだまだ現役。多少、割れてヒビが入ってしまったものもありましたが、それでも補修して使われています。
今の多くの皆さんにとっては、ゴミ同然なんでしょうが、古いものを大切に使い、後世に文化を継承する使命感をこの洋館からは感じます。そう、この伝統的なデザインこそが、歴史なんです。こういうことは、歴史のない新興国にはないものであり、一旦失われると取り戻すことは出来ません。
多くの人には理解されないかも知れませんが、私たちもそういう使命感を持って、建築に携わっていかなければなりませんね。こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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