先日、NHKでコロンビア白熱教室という番組を再放送していた。内容は、人間は選択という自由を与えられた時、どうなるかというものでした。
番組で紹介されていた例ですが、食料品店の試食コーナーに24種類のジャムと6種類のジャムを並べたそれぞれの店の場合を比較すると、来店数では多種を揃えた店と少品種の店との割合が6:4。でも、売り上げは、品揃えが少ない方が6倍もあったという。
人間は選択をしたがるものだが、選択肢の数があまりにも多くなると、選ぶこと自体をやめてしまう傾向にあるらしい。つまり、選択に対する人間の情報処理能力には限界があるのだ。
毎日、何百もの選択肢の中から選んで生きて行かなくてはいけない現代社会。選択肢が多すぎると、それだけで圧倒されて、時には押しつぶされてしまうというのだ。当然、あるものを選択するということは、その他の大多数の選択を捨てるという決断です。だから、明確な意思を持たずあれもこれも欲しいという人にとっては、選択は苦痛であるかも知れません。
私たちがドライウォールで使うパラペイントは、2,400種もの色が存在する。また、Kichler社の照明器具でも数千もがカタログに掲載されているし、私たちのお客様が自身の家づくりで選ぶ資材は、膨大である。
つまり、番組の内容に照らし合わせれば、全てをそのままお客さん側に一度に提示してしまうと、混乱して当初の目的とは異なった選択をしてしまう恐れがあるし、そういった状況の中選択してもお客さんの満足感は得られない。(あちらの方がよかったかもと、後悔するのが関の山だろう)
確かに、大手住宅メーカーのように「洗面化粧台は、この3つの中からお選び下さい」という感じで選択肢の幅を限定すると、コーディネーションが苦手と思い込んでいる人にとっては、楽で満足感も得られやすいという側面もある。
ただ、好みや目的、家づくりのテーマが、ある程度はっきりしていて、既存のものにそれを見出すことが出来ないと感じている人には、私たちのように多くの選択肢があることは魅力的です。
だからこそ、私たち 建築のプロは、お客さんの好みを分類し、それに合ったものを多くの中から予め絞り込んで提示して差し上げるという手間を掛けないと、いい選択をしたという満足感を与えられないのだと思います。
人間は、せいぜい7つの選択肢くらいしか一度に認識することが出来ないそうです。そういうことを理解しながらリードしていけるキュレーターが、この建築業界に何人いるでしょう?
多様なことは素敵なことですが、それをうまくコントロールしてあげてこそ、いい家づくりが可能となります。だからこそ、価格以上にいい人との出会いやご縁が大切なんだと思いませんか。こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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