40~50年近く前のコンクリート擁壁。愛知県豊川市にあるN邸の敷地は、北に接する道路からが敷地へのアプローチとなるのだけれど、南側でも道路と接している。
とは言え、南側の道路との高低差は3m近くにもなるので、こうした高い擁壁で囲われた土地となっていた。
年数からすれば、もう寿命かと思われる擁壁も見た目には然程悪くなっているようには見えないのだが、この写真に写っている擁壁の角のところが道路側に少し倒れ込んで亀裂が入っていたらしい。
原因は擁壁の下の地盤が軟らかく、それによって倒れ込みが発生したというのだが、その後倒れ込んだ擁壁を元の位置に戻して補修も行っていた。
今回新築する建物は、土地が広いこともあってこの擁壁からはそこそこ距離がある。だから、万一擁壁に何かあって土地が崩れたとしても影響がないような位置に計画しているので、擁壁を新しくしなければならないという直近のリスクはないと思っていた。
でも、お施主さんは私と違ってしっかりしていますねぇ。家が建ってからやり直すのは大変だし、少しでもリスクがあるのなら新しくしておきたいという考えでした。
これだけの擁壁をやり直すとなれば、地盤補強を含めて費用も時間も掛かります。それを敢えてやるという覚悟は、私たちと建てる家に並々ならぬ気持ちを抱いて頂いている表れです。
ほんと、私たち ホームメイドも肝を据えてやらなければいけないと思います。
こうやって掘ってみましたら、30cm~1mくらいの深さにガレキがある場所があったようです。以前施工した現場でもこうしたことはありましたが、昔はガレキを撤去しないで現場で処理することが頻繁に行われたようです。
環境に影響を与えるような産業廃棄物とは違って、コンクリートや石などでしたからまだましですが、やっぱり廃棄物が埋まっていると気になりますよね。掘らなければ見つからなかったでしょうから、反ってよかったかも知れません。
因みに、擁壁に入っていた鉄筋は、錆などもなくきれいな状態だったようです。
古いものでも意外と悪くなっていないのには驚きでした。当時使われた材料がよかったのかも知れません。(尚、当時は地盤を強化するという考えが一般住宅にはなかったので、倒れ込みの問題は仕方ないですね)
そういった意味では、デフレで安く造りますという今の風潮では、いいものが世間に残っていかないですし、安心や安全なんてことがない気がします。
こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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