今週、茨城で大きな被害をもたらした竜巻。強さを6段階で示す「藤田スケール」では上から4番目の「F2」(約7秒間の平均風速が毎秒50~69メートル)に当たるらしい。
ということは、まだ上に3つも段階があるってこと!
写真は、この竜巻で中学生1人が死亡した家屋です。(お亡くなりになった方、被害に遭われた方には、深く哀悼の意を申し上げます) 私たちビルダーは、こういう悲惨な写真にも目をそむけず検証する義務を負っていると思いますが、これは本当にどうしていいか分からなくなってしまうような映像です。
今造られる多くの建物は、大きな地震に備えて重くて強い基礎や土台と建物構造とをアンカーボルトや帯金物という耐震金物で緊結させます。そうすることで、構造体が基礎にしがみついて崩壊を防ぐということになっているんですね。この建物の場合、基礎と緊結したことで建物(構造体)と一緒に重いベタ基礎まで飛ばされて、それが構造体の上にのしかかってきた。その結果、中にいた人を巻き込んでしまったのです。
基礎が外れていれば死ななかったのかも知れないということは、あの竜巻の大きさからすれば分かりませんが、多少なりとも死ぬリスクは低減できたのかも知れません。
ただ、逆に地震の際に外れてしまえば、構造体の崩壊につながり住人の生命や財産を危険に曝すことにもなる訳です。また、竜巻で基礎から外れて構造体だけが飛ばされれば、それはそれで地震の時と同じ危険が生じます。
もっと基礎を厚くして、重量を重くすればいいかと言えばそういう訳でもないでしょう。消費者自身がそこまでのコストアップを受け入れなければならないですし、どこまでの重量なら「F2」以上の竜巻に耐えられるかなんていうことも不明です。そういった点では、ある程度壊れることを容認しながら、最終的に人命が助かるということのみに重きを置いて家づくりをしていく、なんて考え方もありではないでしょうか。
地震や津波、竜巻や山崩れ、地盤の流動化や断層の露出、台風、河川の氾濫、火山の噴火など、様々な自然災害が私たちの周りには存在します。
それも温暖化のせいか、神の人間への戒めか、強大化、狂暴化してきています。どの災害にも一定の対応をするということは出来ると思いますが、この家は絶対に大丈夫などという人間の奢った考えは、捨てるべき時代だと思えてなりません。それ程、人間の造りだすものは、自然と比べて稚屈で浅はかなのですから。それは、原発も然りです。
私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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