内部結露を起こしたペアガラスを交換する為に、古いケースメントサッシの建具を分解しました。
輸入サッシは、木製アルミクラッドのサミット(Summit)社製。
以前、バラバラに分解した様子をブログ記事に書かせて頂きましたが、今回はその木部にティンバーケアで防水塗装を施しました。
以前雨漏れを起こしたということで、新築した時の工務店さんやお客様自身でも何度か塗装をされたみたいで、雨漏れでの黒ずみや塗装のムラなどサンドペーパーでは落とし切れない部分もありましたが、そこそこ見栄えがする感じにまでなりましたので、少し着色を加えた上で、ナチュラルクリアの防水塗装を塗っています。
こうやって分解すると、どこまで雨水が浸入したかも分かりますし、建具(障子)を組み直してしまうと見えなくなる部分にまで防水塗装をすることが出来ますから、今後雨漏れの問題が発生しても木部が腐るリスクは最小限になるはずです。
ただ、このサッシの建具は、アルミカバーと木枠とが密着した状態で一体化されていますから、一度雨漏れを起こしてしまうと構造的に問題が起こりやすい製品であったという気がします。
アルミクラッド木製サッシのアルミカバーの構造は2種類あって、1つはロールアウト(Roll-out)タイプで木製建具及び窓枠の木の表面を薄いアルミ板で巻き込んで覆っている形状で、もう1つはエキストルージョン(Extrusion)と呼ばれるタイプで、厚みがあるアルミを型から押し出して成型し、木製枠の外側にそのアルミが隙間を明けて噛み付くような形状をしています。
Roll-out タイプのアルミクラッドは、アルミが木部に隙間なく直接張り付いている形状ですので、アルミ内側で結露した水分や雨漏れによる水が、全て木部に吸収されてしまい、木製部分が腐ってしまいます。
サミットやウェンコ(Wenco)等は、Roll-out タイプのアルミクラッドである為、雨仕舞いが悪いので木枠が腐るというクレームが大量に発生しておりました。
勿論、こうしたトラブルは、外装のアルミのつなぎ目やペアガラスの周囲などを防水処理してやることでほぼ防止出来るものでしたが、そういう問題や処置を熟知していない住宅メーカーや工務店では対処が難しい不具合であったと思います。
それに対し、Extrusionのタイプは、アルミと木部との間にスペースがある分、そこの水分は木に吸収される前に排水の為に明けられた穴から外へと放出されるように出来ていました。
ただ、これも長年汚れやゴミが蓄積した状態で窓を開けなかったり、穴が塞がったりすると、水が抜けずに木を腐らせてしまうリスクが生じますから、同様に外装の防水処理や木部に防水塗装をしてやる必要があります。(勿論、日頃の掃除や窓開けも非常に大切です)
こういうことを知った上で、輸入住宅にお住まいのお客様は、サッシやドアのメンテナンスを定期的に行うようにして頂きたいですね。では、またこの建具が組み上がりましたら、どんな感じになるかお見せしたいと思います。
<関連記事>: 建具の分解作業 (2024年5月23日)
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