ホームメイドで建てさせて頂いた家では、このような施工をしたことはないのですが、最近リフォームの相談を頂いたおうちで、1階の床下に通気を取らない工法で建てられたものがありました。
分かりやすく言うと(それでも専門的なので難しいかな?)、構造壁の部分だけに布基礎を立てて、それ以外の部分には土を埋め戻して、その上に発泡コンクリートをスラブ状に張るやり方です。つまり、コンクリートの上にフロアを載せて床にしているというものですね。
以前勤めていた工務店では、温水床暖を行った場合にこのような工法を採用した住宅があったのですが、私が営業を担当した家にもシロアリによる被害がありました。
営業を担当しただけでしたので、施工方法などは現場責任者に任せていたのですが、私自身としては、コンクリートを床下全面に敷き詰めているので、シロアリが入り込む隙間など全くないと思っていました。また、当時標準的だった防蟻処理(住宅メーカーでは今でも標準)によって安心だとも思っていました。
でも、それは全く逆でした。床下がない分、通気もなく湿気も床下に内包されてしまいますし、そこで何が起こるか分からなかったのでした。
まず、埋め戻した土にシロアリが入り込んでいたのです。小さな生き物ですから、誰もそれを見つけることは出来ませんでした。そして、シロアリたちはコンクリートで閉ざされた空間にいましたから、どうにかして食べ物を見つけようとスラブコンクリートの下を動き回ったと思われます。
そうしているうちに、コンクリートにクラックが入っている場所やコンクリートが十分に敷き詰められていない場所(布基礎とスラブコンクリートとの境目)を見つけて、上へと上がってきたのでしょう。
そこで有害な防蟻剤を塗られた木材を見つけて、食いつく訳ですが、毒ですからシロアリは食べながらどんどん死んでいきます。でも、死ぬよりも生まれるスピードの早いシロアリは、そのうち防蟻剤のない部分にまで到達します。そして、その一部が羽アリとして広い世界へと大量に飛び出していきます。
お恥ずかしい話ですが、こういったことを知ったのは、以前勤めていた工務店のお客様の家に被害が出た時でした。被害が出た時、シロアリの専門家を連れて状況を確認したのですが、その方もそんなに被害はないだろうという判断をされたので、私も安心しておりました。
でも、他に逃げる場所がないシロアリにとっては、そこのものしか食べられないという状況だった為、被害は相当のものでした。最終的に、建てた工務店が駆除と復旧に当たったのですが、当時既に独立していた私にとっては自身の無知と過信を恥じる苦い経験でした。
今回リフォームを相談頂いたおうちでもシロアリの被害があったとのことで、既に駆除の施工を行ったということですが、チェックだけは忘れずにやっていって欲しいと思います。
シロアリ自体は、非常に弱い生き物ですが、彼らも生きるのには必死です。そういった床下のない工法で建てられたおうちがありましたら、どうか一度チェックをしてみて下さい。
相談先がなくてお困りの方は、お問い合わせ下さい。
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