最近は、建築制度の改正で、新築前の地盤の調査が義務化されている。
住宅に対しての地盤強度ですから、ビルや公共施設ほどシビアではないですが、一定の深さで一定の地耐力があると認められない限り、基礎地盤の補強が要求される。
名古屋は、元来木曽三川等の土砂が長い年月掛けて堆積した土地柄だから、強い地震が来れば地盤が流動化してしまうような柔らかめの地盤であることが多い。名古屋郊外の東部丘陵地帯でない限り、なかなか堅い地盤を見つけることは至難の業。
そこで行われるのが、写真のような地盤補強なのだが、やり方は土地の状況によって変化する。主なものとしては、縦穴に砕石やセメントの改良剤を流し込む柱状改良と呼ばれる補強をしたり、杭を打ち込んで補強する工事をしたり、基礎の下になる表層地盤全体を改良剤と混ぜて固める補強などである。
確かにこうすれば、基礎の直下に対しては保険が掛けられるのだが、実際には深い地層からの変化や断層帯といった人間の力では解決できない自然の驚異が存在する。
また、固い地盤の下に、亜炭鉱(亜炭坑)跡などの空洞がある場合なども、どうしようもない。(東海地方では、こういう場所が結構存在する)
人間に出来る補強など、せいぜいこのくらいのことなのだということを覚えていて欲しい。自然に打ち勝つ方法など、あり得ない。
実際に地盤補強の保証となる対象は、地震ではないのである。普通に何もない状況の中で、地盤の沈下が発生しないということに対して、築後10年保証をしているだけなのだ。
そう、たった10年・・・。
多くの住宅会社が、地盤補強すれば地震に対して強くなるなどという根拠のない空言を言っている。まあ、それくらい一般の工務店は勉強していないから、仕方ないが・・・。
あの阪神大震災では、断層ラインではビルでさえ横倒しになっていたし、東北で起きた地震では山ごと崩れて風景さえ変わってしまったということを思い出して欲しい。絶対安全だった原発の炉だって、底が割れてしまったのだ。
だからと言って、何もしなくていいかと言えばそうではないが、住宅メーカーの軽口に過度の期待や安心をすべきではないと心しておくべきだ。
それより、多少家が壊れても、家族の命だけは何とか守れる家であれば、それで丸儲けだと考える気持ちが大切だ。家は、家族の安全と財産の保全を図る為の道具なのだ。
話は変わるが、住宅ビルダーの中には、セメント(コンクリート)の中に六価クロムが含まれるからセメントの改良剤もよくないというふうに、間違ってPRしているところもあるようだが、六価クロムが問題となったのは1990年代の話で、現在六価クロムを含有している製品は市場には存在しない。
彼らはまともに勉強していないから、話の時間軸がずれているのだ。もしそうなら、コンクリートを使わずに彼らは何を使って基礎を造っているというのか、教えて欲しいものだ。環境負荷の問題を利用して、意味なく消費者の不安を駆り立てる業者がいるのは、淋しい気がする。
家に関する保険の加入や見直しについて詳しく知りたいという方は、ご相談下さい。
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