昨日、近くのお客様から掃出しサッシの鍵が掛からなくなったので、直して欲しいという連絡がありました。
私が工務店に勤めていた、25年近く前に建てた2x4工法の国産住宅。
構造はアメリカ式でも、それ以外は国産製品を使って建てましたから、サッシも国産の不二サッシを使っています。
不二サッシ自体は、他のサッシ・メーカーに吸収されて今は存在しないメーカーですから、20年以上前のサッシの部品などほぼ手に入らないという状況かも知れません。取り敢えず、状況確認をして、近い部材を探した上で何とか修理を試みようと考えておりました。
その不具合のある鍵が、この写真。回転してロックが掛かるクレセントの位置が、本来の位置より15mm程上になっていて、ロックを外すと外側(写真左側)のドアがずれて、下へ落ちて(下がって)しまうとのこと。
そうなると鍵が掛けられなくなるので、ロックを外せず、ドアの開閉も出来ないので困っているとのことでした。つまり、一旦鍵を解除すると、鍵が明いたままになってしまうという状況でした。
ただ、掃出しサッシの状況を細かく見ると、サッシの建具(障子)自体が傾いているし、ドアの高さのバランスも非常に悪い感じです。そこで、クレセントの位置を新築時の元の位置に下げて、ロック受けの金具の位置やビスの固定も正しい位置に戻しました。
勿論、そんなことをしても、ドアの建て起こしが悪い訳ですから、このままでは鍵が掛かられるようにはなりません。そこでドアの左右のバランスを調整しながら、ドア自体の高さも変えてやりました。
そうすると、見事ドアの状態は正常となり、スムースに開閉が出来るようになりました。
掃出しサッシのような大きな開口部は、サッシの両サイドに柱材が入っている為、建物の重量がサッシの両サイドを下方向に押してしまいます。でも、サッシの中央付近は、窓上部にマグサと呼ばれる横木で支えている為、建物の重量は掛かりません。
ですから、サッシ付近の床が弓なりに湾曲してきて、ドアの水平・垂直が取れなくなってきます。長く掃出しサッシを使ってきたことによるサッシ自体のアンバランスと、構造的な宿命とが相まってこうしたトラブルが発生します。
これは、国産でも輸入でも住宅であれば同様に起り得る不具合ですから、自然の摂理や製品の調整方法を熟知していないと、正しくメンテナンスすることは出来ません。
今の建築屋さんで、どれだけこういったことが出来る人間がいるのでしょうねぇ。きっと、無理くり鍵を交換して終わり、みたいな作業をするんでしょうね。ついでに、大きな網戸が引っ掛かって開閉出来ないというトラブルも直してあげました。
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