20年前に愛知県豊田市で新築させて頂いたお客様のおうちですが、この度売却を検討されることになりました。
娘さん夫婦が京都に拠点をお持ちで、お孫さんのお世話をしがてらそちらに暮らしを移されるということで、慣れ親しんだ我が家を手放す決断をされたそうです。
お客様も新築した時の思い入れが強く、この家を壊して更地で売るということだけはしたくないとのことで、どうやって売ったらいいか私に相談をして頂いた状況です。
インテリアは全てドライウォールで仕上げ、フローリング等の内装材も全て無垢材。手に触れるもので、フェイクなものは一切ありません。照明器具も全て美しい輸入照明を採用していますし、全館空調の設備も完備していますから、当時としては相当本格的な輸入住宅でした。
ですから、その後新築を計画中の何人かのお客様をご案内したこともありますし、そこで素敵というお言葉も頂きました。
そうは言っても、日本の不動産の売買では、いい素材やいいデザインを価格の評価基準にしてくれません。素敵なおうちを二束三文で売ってしまう状況は、何とも悲しく情けなくなりますが、仕方ないかも知れません。
私ならちゃんとリノベーションやメンテナンスを行って、家の価値を上げた処で売買の話をして欲しい処ではありますが、そこまでお金を掛けられないという事情もよく分かります。私としても出来る限りのお手伝いをするつもりですが、やっぱり手掛けた家が他人の手に渡るということには、複雑な思いがありますね。
欧米のように、手入れの行き届いた古いおうちが高く売れるという社会に、日本も早くしなければいけません。でないと、建物の価値が過剰に低く見なされ、どんどん失われていく文化しか残っていかないと思います。
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