先日、現地調査を行ってきた輸入住宅の外壁です。
建物の東面に多く見受けられるのが、縦ラインで入った細長い割れ。
至る処に入っていましたから、お客様自身もコーキングなどを使って補修したようですが、見えないような小さなクラックもあるでしょうから、全て補修するのは無理だったと思います。
このおうちは、スペインの家を再現するというコンセプトだったらしく、屋根の軒は殆ど出ていないばかりか、新築当初雨樋も付けられていなかったということですから、外壁や窓は雨ざらし。
それはあまりに酷いということで、雨樋を付けて頂いたそうですが、竣工前から施工業者とはうまくいかず、結局今までメンテナンスらしいことはあまりやってこなかったとのことでした。
外壁の塗り壁材には、タナクリームという素材をモルタル下地の上に塗っているようですが、恐らく外壁の通気層も全く取っていない状態で、防水シートの上にラス網を無数のタッカーで留めてあるのだと思います。
そういう状況では、折角の防水紙が穴だらけですから、外壁の中に雨水が入る状態では、構造部分にも雨漏れをしてしまっていると思います。ですから、サッシの周囲に回している飾り枠のケーシング部分から、室内への雨漏れがダイニングやキッチンで発生しています。
実は、塗り壁材のタナクリームは、本来内装用として使うべき素材で外装に使うにしても雨には当てないように指示があるものなんです。それが、軒が殆どない家の外壁全体に塗ってある訳ですから、不具合が起こるのは必然的かも知れません。
当然漆喰に近い素材で伸び縮みに追随出来ないという特徴から、温度や湿度の変化や地震の揺れなどによってクラックが入りやすいものであることも施工業者は注意すべきでした。既にその住宅会社はありませんから、今更文句を言うことも出来ませんが、倒産すべくして倒産したのかも知れません。
何れにしても、下地が悪ければタナクリームでもスタッコフレックスでも割れるのです。外壁は一旦剥がすなどして、下地からちゃんとした施工をすることをお勧めしたいと思います。それにはある程度の費用が掛かってしまうかも知れませんが、長い目で見たら今費用を掛けたことが後々の維持につながっていくはずだと思います。
拘りやお金を相当掛けて新築したおうちは多いですが、間違った材料と間違った施工をしては、それを生かすことは出来ないのです。
<関連記事>: スタッコ・フレックスの外壁でも割れる (2014年8月29日)
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