写真は、日進の弊社の近くにある輸入住宅の外壁です。
大手住宅メーカーさんで建てられたおうちですが、新築から一度もメーカー・メンテナンスを受けていない状況でした。
何故そうなのかといった事情は分かりませんが、10年に一度くらいの頻度で点検・補修は絶対に必要です。そういう定期的なメンテナンスがやれていない住宅メーカーや工務店が、この日本には如何に多いか。非常に残念でなりません。
アンダーセン(Andersen)のケースメント・サッシを多く使って頂いているようですが、建具(障子)の建て起こしの問題か、それとも気密パッキン材のウェザーストリップがへたってきたのか、窓の上枠と建具との隙間から雨が時折侵入してきます。
また、浴室や勝手口の取り付けられたエクセル・シャノンの樹脂サッシの可動式網戸が破損しています。こうしたことは、簡単な部品類を交換した上で、サッシを調整してあげれば大抵の窓が元通りになるものです。(勿論、構造的な問題や施工手順や材料の間違いなどがある場合は、直らないケースもあるでしょうが・・・)
さて、今回取り上げる問題は、外壁のクラック。私が相談を受ける前に、お客様ご自身で防水剤を使って割れの部分を補修して頂いているようですから、当面の不具合は回避出来ています。
デラクリートという名前のコンクリート・防火パネル材が外壁に張られていて、その上に仕上げ材としてジョリパットのようなスタッコが塗られています。
こういう場合、表面のスタッコ自体が、外気温の変化や建物の伸縮によって割れてしまうということもありますが、このように一直線に割れが入っている時は、下地となっているパネル材のつなぎ目(目地)がずれて割れたと考えるのが正しいと思います。(尚、塗装で仕上げても同じ結果です)
垂直荷重において最もウィーク・ポイントとなるのが、窓の両サイド。そこに敢えてデラクリートのつなぎ目をもってきてしまったことが、一番の問題でしょう。
また、こうした割れは、外壁のコーナー部分などにも起こることがよくあります。それは、コーナー部分が一番つなぎ目の集中する箇所だからです。
パネルをジョイントする部分は、出来るだけ窓やコーナーを避けて、万一そこに近くなってしまう場合には、補強テープやビス留めを十分に施して下地を作る気遣いが欲しいものです。
また、こうしたクラックは完全には避けられないものですから、下地の動きがあっても柔軟に対応出来るスタッコ・フレックス(Stuc-O-Flex)のような仕上げ材を用いることも対策の一つです。
そうした複数の対策を打つことで、外壁や窓周りからの雨漏りの不安を解消することが出来るはずですよ。ただ、新築時の見積には、材料の表記があっても張る位置や張り方、施工の良し悪しや気遣いまで書かれていないのが実情です。
見積だけを信用するのでなく、施工についての情報公開をしているかどうかも確認する必要があるかも知れません。
それにしても、防火規定が厳しくなって外壁材の厚みも増大している昨今、外壁材の重量が構造体に与える影響も大きくなってきています。また、大きな地震が頻繁に起こっている状況では、外壁が割れるリスクも考えなければなりません。そんな日本において目地なしの大壁工法で塗り壁を施工するのは、無理があるような気がします。デザインと耐久性の両立について、皆さんはどう思われますでしょうか?
輸入住宅の新築やメンテナンス、コンサルやコーディネートをして欲しい、私と話をしたいという方は、お問い合わせ下さい。全国どこでもご相談を受け付けます。尚、相談や問い合わせの前には、日々更新する記事をいくつかご覧の上適否をご判断願います。
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