一昔前、フレンチ風(南フランス風)や地中海風の輸入住宅が流行りましたが、その時多くの外壁に採用されたのが塗り壁でした。
扇形にコテ跡を付けてみたり、土のムラを出す為に写真のようなスタッコ調に仕上げてみたりしましたね。
ただ、そうした塗り壁の外壁では、新築から然程時間が経っていないにも係らず、壁に亀裂が入るというトラブルが発生するのも事実です。いろいろな原因が考えられるのですが、最も大きな原因となったのが下地の材料や施工が不十分なことでしょう。
通気層などを取らずに、構造材の耐震合板の上にラスと呼ばれるメッシュ状の細い金網を張ってから直接モルタルを塗ったり、ラスの代わりにラスカットというモルタル用下地の板材を構造に直に張ってからモルタルを塗るなどすると、構造体の動きに引っ張られて表面の割れが起こりやすくなります。
この家では、構造用合板の上に通気層を取った状態で下地となる防火パネル材を張ってから、ジョリパットという塗り壁材を塗っているようです。
ただ、下地のパネル材が張られた壁は、全くの一枚ものではありません。必ずジョイントと呼ばれるつなぎ目があることを忘れてはいけません。窓の両端のように上からの重さを受けやすい場所にそのジョイント・ラインが揃っていたら、まさにそこは割れる弱点となってしまいます。
しかしながら、この家の不具合は、それだけが原因とも言えないかも知れません。
それは、窓の周囲の防水性です。通常は、窓の周囲は防水コーキングなどで壁の中に雨水が侵入しないように処理をするのですが、窓の周囲に飾り枠のケーシングが付けられています。よく見るとケーシングのコーナーの部分が開いてきていますよね。
ここにはコーキング等が入っていないようですから、壁の中や窓に雨水が侵入する恐れが生じます。ですから、この家では雨水が塗り壁の内側から壁の劣化を誘ったという可能性があると想像されます。
こういう場合、多くの工務店やリフォーム屋さんでは、防水材をこの上から施工して不具合を隠蔽するという方法で対処するでしょうが、それでは原因究明も出来ませんし、再度雨漏れを起こしたら同じトラブルが発生するだけです。
安かろう悪かろうという修理ではなく、お金を掛けてでも原因を確認して、次にそういうトラブルが起こりにくい状況を作ることこそが、一番家を長持ちさせる対処ではないでしょうか。
そう、急がば回れですよ。
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