住宅業者やユーザー向けに発行されている「日経ホームビルダー」に、「リノベブーム再考」という表題の連載記事が掲載されている。
中古の戸建やマンションを安く購入して、自分の好みに合わせてインテリアをリノベーションするのが、トレンドになりつつあるようだが、今回の熊本・大分の大地震をニュースで見て、いろいろ考えることが多くなった。
マンションや木造住宅などの建物は、1981年に新耐震基準に基づいた施工が義務化され、更に木造住宅の耐震基準は2000年に大幅に改正されたという経緯がある。だが、熊本の地震では、築10年程度の木造住宅でも度重なる大きな地震で建物強度が徐々に落ちて、2度目の本震で倒壊してしまったという状況だった。
つまり、2000年以降に建てられた最も基準の厳しい木造住宅でも何度も強い揺れに襲われれば、住宅としての機能が失われてしまう状況だった訳なのだ。
いわんや、中古の安い木造住宅の多くは、2000年よりも前に建てられたものであり、見た目をよくするインテリアのリフォームはやるが、地味で費用の掛かる構造強度を上げる耐震改修は、予算の関係でやれないという人が多いのではないだろうか。
当然、住宅業者側も見た目をよくするリノベーションの方が売りやすいから、耐震改修の話は二の次にしてしまう。これじゃあ、知識レベルが、プロのリフォーム業者も一般の消費者と何ら変わらないじゃないか。
また、マンションのようなRCや鉄骨の建物は、1981年の耐震基準を今でも採用しているのだから、35年も耐震性が放置されたままなのだ。そういった建物は、他の家族が同じ建物に住んでいる場合もあるので、構造をやり直すには多額の費用や他の家族の同意が必要となる。
東海地方でも今後30年以内に震度6弱以上の地震が来るのが、26~100%という地域が殆どという発表が平成21年にされているが、平成28年の現在なら、あと23年のうちに大きな地震が襲ってくるということなのだ。
そんなので、インテリアにだけお金を掛けて中古物件に住む意味など本当にあるのだろうか。まずは、家族の安全が一番ではないか。
そして、断熱材やサッシなどが関係する省エネ基準ですが、1992年に新省エネ基準が制定され、1999年に次世代省エネ基準をそれぞれ設け、徐々に強化してきた経緯がある。
次世代省エネ基準と新省エネ基準とを比べた場合、年間で2万円以上の光熱費に違いが生ずるらしい。それ以前の旧省エネ基準と比べた場合は、4万円もの違いとなる。
省エネ性能は、光熱費だけでなく住み心地にも大いに関係してくる要因だから、古くて安い中古物件にそれだけの魅力があるかには疑問の余地を感じてしまう。古いデザインが好きというなら未だしも、安いというだけで住宅を購入するのは、それだけのリスクがあることを意識して欲しい。
もしそういう住宅を購入するなら、耐震リフォームや省エネ改修をまずやってから、インテリアにこだわりを持ってもらいたい。地震が来てから改修しても何ら意味はないし、費用も新築以上となるはずです。安物買いの銭失いなんてことにならないように・・。
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