全国で820万戸に及ぶ空き家解消を進めるため、解体勧告や行政代執行の対象となる「特定空き家」の判断基準として、国土交通省は、「建物の傾き具合が高さに比して20分の1を超える」「土台のシロアリ被害が著しい」など具体的項目を盛り込む方針を決めた。
5月の「空家対策特別措置法」(空き家法)の全面施行を前に全国の自治体に指針案として示し、意見をふまえ正式決定する。
近隣に危険や迷惑を及ぼす特定空き家について、同法では、市区町村に解体勧告などの権限が与えられ、所有者が従わなかったり、不明だったりした場合には、行政が代わって解体することも可能となるため、国交省が判断基準作りを進めていた。
指針案ではまず、建物の傾きが「20分の1」(例えば高さ3メートルなら、屋根のずれが横に15センチ)を超える状態を「倒壊の危険がある」と位置づけた。「20分の1」は、地震で傾いた建物の危険性を測る「応急危険度判定」の基準を援用した。
このほか、「(強風などで)屋根や外壁が落ちたり、飛んだりするおそれがある」「柱などに亀裂がある」などの状況を具体的に示した。
また、屋根や外壁の劣化を調べる方法についても、橋やトンネルで用いられる「打音検査」まで行う必要はなく、目ではがれ具合などを見て、腐食などが確認できれば足りるとした。
読売新聞 記事 (2015年4月20日)