先日電話で外壁等のリフォームの相談を頂いた。
築15年程度の輸入住宅ですが、新築後すぐに建築屋さんが倒産してしまったそうで、それからどこの会社にもメンテナンスをお願いしていなかったという。また、どこかのリフォーム業者さんに以前増築をしてもらったようなのだが、今回更にもう一部屋増やしたいということだった。
外壁は、輸入住宅ブームの際に、フランスのプロヴァンス風という感じでよく目にしたコテ跡を付けた塗り壁仕上げ。その壁の至る所にクラックが入って、雨水も室内に侵入していることが窺える。
塗り壁材は、当時よく使われたアイカのジョリパット。骨材を入れなければ、漆喰のような風合いに仕上がるのだが、伸縮に弱い為構造体の動きに追随出来ずクラックが入りやすいという欠点を持つ素材だ。
特に、下地のサイディングを張らずに、防水紙の上に直接モルタルを塗って下地としたような施工(湿式)は、絶対と言っていい程クラックは避けられない。当然、ここも湿式のモルタル下地。
最初に見て、すぐにダメだと分かりましたので、お客さんには材料の欠点や施工上の不具合について出来るだけ分かりやすくお話ししました。
お客さん曰く、ホームメイド以外に数社から見積を取って決めるので、その旨了解して欲しいという。つまり競争させて安い所にお願いするということですね。
私たちもこの状況を見て見ぬふりは出来ませんから、どうしたらこの問題を解決出来るか、また将来発生するリスクをどれだけ少なく出来るかを考えながら、見積をお出ししようと思いますが、きっと他社でやられるような気がします。
見栄えを回復してただ安くするなら、現状の上に更にジョリパットを塗り増しするのが一番です。でも、構造体の状態を見ようとすれば、防水紙を含めて全て剥した上で、問題箇所を補修・交換をする必要があるのです。
更に、通気層を施工した状態でサイディングを追加(乾式)し、それからやっと上塗り材のスタッコフレックスを数回塗るということをしなければいけません。つまり、外壁補修をする項目だけで、他社と比べて倍若しくはそれ以上の金額が掛かると私は思っています。(材料や施工費もいいものは高いですしね)
どこまで見積に詳しく記載されているかは不明ですが、限られたスペースで多くを語ることは不可能です。そういう場合、多くの皆さんが、価格だけを選択の基準としてしまうのは自然なことです。
競争とか契約とかいったアメリカ資本主義の考え方には、気遣いや「仕事に妥協しない」という理想はありません。それは、数字に表れない、まさに心の問題だからです。それを理解出来ないで失敗した方を、私はたくさん知っていますし、それも勉強かも知れません。
私たちを含めて失敗はよくあることです。でも、それを真摯に受け止め、改善やリカバリーをする姿勢が大切です。勿論、見積以外に何で判断するのか?という疑問もあるかも知れません。気配りや言葉なんて信用出来ないという人もあるでしょう。
どのようにお客さんが判断されるかは分かりませんが、価格重視で同じあやまちを冒さないでと強く願うばかりです。家づくりって、本当にご縁だと思いますねぇ。また、自分の心や施工者の心が必ず家に表れるのは不思議です。
説明しきれない私たちも未熟ですね(反省) 私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
<関連記事>: 塗り壁選びは、慎重に!(2008年8月31日)
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