経済産業省は24日、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、2015年度の価格案を示した。主に企業が持つ出力10キロワット以上の太陽光発電は7月から1キロワット時当たり27円(税抜き)とし、14年度と比べ5円下げる。家庭での10キロワット未満の太陽光発電は4月から33~35円に下げる。いずれも3年連続の引き下げとなる。企業の下げ幅は過去最大となり、今後の太陽光の導入ペースに影響しそうだ。
経産省の有識者会議「調達価格等算定委員会」が同日、設備コストや利益をもとに価格案を示した。宮沢洋一経産相が年度内に正式に認定する。再生エネが太陽光に偏っている現状を是正するため、重点的に太陽光の価格を下げた。
再生エネの固定価格買い取り制度は12年7月に始まった。再生エネ事業者が作った電気を決まった価格で買い取ることを電力会社に義務付けている。再生エネの買い取り費用は電気料金に上乗せされる。これまでは買い取り価格を高めに設定した太陽光に導入が集中し、政府が認定した設備の9割以上を占めている。
主に企業が持つ10キロワット以上の太陽光発電は設備コストが上昇した半面、発電効率が高まり利益が増えていた。まず4月に14年度と比べ3円減の29円とする。事業者に配慮して利益を上乗せする優遇期間が6月に終わることを受け、7月からさらに2円下げる。
個人が住宅などを使って手掛ける10キロワット未満の太陽光発電も太陽光パネルの値下がりを考慮し、14年度の37円と比べ2円以上下げた。遠隔操作で発電出力を抑える装置の設置が義務付けられた地域は下げ幅を小さくした。装置を設置する必要がない東京、中部、関西電力管内は33円、九州電力などほかの電力管内は35円とした。
間伐材を利用した出力2千キロワット未満の小規模木質バイオマス発電を対象とする新たな区分を設け、バイオマスの中で最も高い40円とした。
風力や地熱、中小水力は7月以降も再生エネ事業者の利益に配慮する優遇期間を続け、14年度の価格を据え置いた。価格を維持することで普及を後押しする。
太陽光は天候によって発電量が変わるため、受け入れる大手電力は火力の発電量を変えたり、送電線で他地域と電気をやりとりするなどの対策が必要となる。九州電力など5社は昨年、設備の調整能力が不足しているとして、再生エネの新たな買い取りを一時保留する混乱があった。
日本経済新聞 電子版(2015年2月24日)