燃料電池車「MIRAI」の衝撃

燃料電池車「MIRAI」の衝撃

発売1カ月で1500台の注文を受けたというニュースが流れ、2年後には3000台への生産増強を図る予定らしい。

水素で電気を起して、モーターで動かす自動車ですが、環境的には懐疑的な意見が多い。それは、水素を生産するのに、石油などの化石燃料が使われるからということに原因がある。

確かに結局化石燃料に頼らなければ車は動かないのですから、何も環境を改善する訳ではないという意見は正しいし、水素ステーションを建設するコストが非常に高いということも手放しでは喜べない話です。

ただ、何でも最初から順風満帆、問題やトラブルもなく物事が進むなんてことはあり得ない。遠い目標が間違っていない限り、そこに挑戦していくことは素晴らしいことであると私は思います。そういった点では、核廃棄物の処理において何ら方法が見出せない原発開発とは、大きく状況が異なるのではないでしょうか。

水素自体は、空気中にも海にも山にも存在しています。H2O(水)を分解すれば、H(水素)が発生するのです。自然界から水素を効率的に取り出す技術が今後開発されれば、世界のどこの国も資源国になり得る可能性を秘めています。

そうなったら、本当に化石燃料は必要なくなるかも知れません。ガスを使っていた暖房・給湯機器も水素を燃料とするものが登場するでしょう。電気も水素発電所なんてものが出来るかも知れません。

そんなに遠くない将来、全てのエネルギーが水素に置き換わるかも知れないのです。へたをしたら、水道の水だって水素で作るという国や企業が現れるかも知れません。有機物となると大変難しいと思いますが、もしかしたら水素で炭水化物のような食べ物を作り出せるなんて世の中も、夢ではないと思います。

そういう技術に先鞭を付けたという点で、トヨタの燃料電池車「MIRAI」は社会に大きなインパクトを与え得る製品であると感じます。

私たちは、輸入住宅の建築という文化を今後も提案していくつもりですが、そこに使われる住宅設備やインフラは、こうしたものに置き換わっていくかも知れません。

それにしても、産油国で石油が売れなくなったり、ガス機器の製造が自動車メーカーで行われたり、なんてことになったら国や産業の構造変化、技術のないものの淘汰が進んで、国際間の格差地図も大きく塗り替えられるんでしょうね。これが、新たな戦争の火種にならないことを祈ります。

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