よくスペイン瓦とも称されるS瓦(モニエル瓦の一種)。スペインのような南欧で見られる屋根材なので、家を南フランスや地中海風のデザインにしたいという方に好まれているようです。
このおうちもフレンチ・カントリーをイメージした可愛らしい外観をしていますが、屋根からの雨漏りの疑いがあった為に写真のような防水コーキングが施工されています。
勿論、通常はこのような施工は行われません。それは、外壁に一番近い左側の一列だけにコーキングが打たれていることからもお分かり頂けると思います。
確かに隙間があれば、そこから雨が侵入するのではないかという心理は分かりますが、それなら全ての瓦にそうした施工がされるべきですし、どこの家でもそうしないと雨漏りするということになるはずです。
瓦などの屋根材というものは、一定の傾斜が付けられていれば、雨が逆流して中に侵入するということはまずありません。また、屋根材は屋根部分をカバーするのが一番の目的で、防水自体は屋根材の下に敷かれたアスファルト・ルーフィングと呼ばれる防水シートが、その役目を果たすのです。
つまり、屋根材の中に雨は侵入するものだという意識が必要ですから、その下の防水シートを如何にちゃんと施工するかが重要なポイントとなる訳です。
この場合は、外壁と屋根との取り合い部分の雨漏りを気にしたということでしょうから、外壁に張った防水紙と屋根に張った防水シートとの重ねを十分に取っていれば、コーキングを打つ必要はないはずです。
逆に、コーキングを打つことで、中に入った雨水が外に出てこなくなることの方が問題となるかも知れません。防水というものは、最前線で絶対止まる、絶対入らないという考え方は最も危険です。万一雨が入った場合でも、次の対処で外へと排出できるという施工をすべきでしょう。
家というものは、自然の摂理に沿って建材を使用し施工を考えなければなりませんから、その機能や性能を十分理解して問題に対処することがビルダーには求められています。
こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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