設計士の加藤さん撮影の写真、第4弾。岐阜市のレンガ積み輸入住宅、N邸のインテリアの塗装についてこの写真をご覧頂きながらお話ししましょう。
以前にもお話をさせて頂いたと思いますが、内装の壁に塗装してドライウォールにするなら、塗料はツヤなし(ツヤ消し)が一番です。塗料メーカーの中には、汚れをふき取りやすいという理由から、少しツヤの入ったエッグシェル(Egg Shell、卵の殻のような4分ツヤ)を勧めるところもあるようですが、壁のツヤはインテリアを下品に見せるという欠点があるのです。
マット(Mat、Flat)なツヤ消しのシリーズがあるパラペイントなら、布で汚れをふき取れるので少しの汚れなら心配要りません。地中海の石灰が塗られた壁や日本の寺社の漆喰壁のような上品さは、ツヤ消しのペイントでなければ表現出来ないのです。
写真のように角を丸く仕上げたブルノーズ・アーチの梁(ハリ)なら、光と影がグラデーションを描いてシルエットに柔らかさを感じさせるという効果を発揮します。
こうした仕上げも、ツヤなし塗料で施工したドライウォールにしか出来ない美しさです。
あと、写真右の白い木製ドアやドアの飾り枠(木製)を見て下さい。
少し照明で光っているのが分かりますね。こういったドアや枠は、通常8分ツヤのセミグロスのパラペイントを塗るのです。ツヤがない壁とツヤのあるドアやドア枠が隣り合わせになると、コントラストが生まれて相乗効果で高級な感じを受けるのです。
ヨーロッパやアメリカのホテルや古い建造物も同じ手法が取られていますから、海外に行かれたら見てきて下さい。歴史に刷り込まれた美しさによって、人間の潜在的な感覚でも、それが美しいと勝手に脳が認識してしまうから恐ろしいですが、実はそれが伝統美というものなのです。
バランス、調和、色彩感覚、どれを取っても人間の長い歴史から生み出されてきたものばかりです。これを理解し、うまく利用する私たちのような建築デザイナーと一緒に家づくりをするという意味がここに隠されています。
ただ、インテリアを塗装で仕上げる文化のない日本で、塗料を語れる建築家やビルダーは、そう多くはいないかも知れません。こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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