レンガ積みを知らない人は、よくレンガは重いので地震で建物が壊れるという方がいらっしゃいます。確かに、レンガ自体は非常に強度があって重いと思いますが果たしてどうなのでしょう。
ヨーロッパなどでは、レンガ積みと呼ばれる建物の場合、構造の壁そのものがレンガで造られます。いわゆる組積造と呼ばれる建物ですね。でも、北米のカナダでは、木造である2x4工法の構造体の外側に外装材としてレンガを積みます。つまり、ヨーロッパの組積造のような構造そのものでなく、私たちのレンガ積み外壁はただのカバーでしかないのです。
ですから、建物本体のような構造強度は必要ないとも言えるのです。建物のカバーですから、もし地震でレンガがダメージを受けても、建物の構造本体には影響がありません。レンガを積み直せば、それで元通りという訳です。積む面倒はあるかも知れませんが、建物内での生活に支障をきたすような構造的な問題は起こらないのです。
ただ、ホームメイドのレンガ積み輸入住宅が、ヨーロッパの組積造と違うのは、レンガに開いている穴の中やレンガとレンガの間に、鉄筋をたくさん入れて耐震性を上げてあるという点です。つまり、崩れにくくなっているのです。
また、断面図をご覧頂くと分かりますが、レンガはしっかりしたコンクリートの基礎の上に積み上げられます。重量が掛かっているのは基礎だけで、内側にある構造本体とはお互いを引っ張り合うBRICK TIE(引っ張り金物)で緩やかにつながっているだけなのです。
つまり、木造の構造体に接するか接しないかというギリギリの場所に、レンガを積んだ塀が立っているというイメージがレンガ積み外壁です。また、ロケットとそれを支える発射台の関係が、レンガの外壁と構造体の関係とも言えますね。
それに引き換え、コンクリートのパネルで出来たサイディングと呼ばれる外壁材やレンガを模したタイルなどは、建物本体にぶら下がるように張り付いています。つまり、常に建物の構造は、外壁材で重いと感じる状態となっていますし、地震の際にはその重さが揺れのエネルギーを増幅させる結果となります。せっかく軽くなっている構造体を、外壁材が重くしているのですから、更に耐震強度を上げなければならなくなるというイタチごっこです。
皆さんだって、重い鎧をいつも着ていたらどんなに大変でしょう。建物は何十年もその状態ですから、建物自体に歪みが生じてしまうのは当然ですね。重い体重の人は同じ速度で走っても、軽い人と比べて止まるのに時間が掛かります。重い建物は、地震の揺れでも加速度が大きくなるのです。2x4の木造で出来た構造体からすれば、レンガ積みの外装の方がはるかに軽く快適なのが、お分かりいただけますでしょうか。
自然の摂理に逆らわず、その大いなる力を受け流すように考えられているのが、このレンガ積みであり、木造の2x4工法であるのです。どうですか、目からウロコでしょ(笑)
そうそう、言い忘れたことがありました。それは、レンガ積みの壁を中途半端に造ってはいけないということです。建物の四面全ての壁をレンガで積むことが大切です。地震の際には、四面のそれぞれの壁がお互いに支え合って耐えるのがレンガ積み外壁です。もし一面しか積まないとそこだけ地震の加速度が大きくなり危険です。人に見られる壁だけレンガを積もうという格好付けは、やめて下さいね。
塗装の塗り替えが必要ないレンガ、JR東京駅のように100年の耐久性があるレンガ、構造体にとって負担のないレンガ、断熱性がある厚いレンガ、デザインが美しいレンガ。お金を掛ける値打ちがあると思いませんか。
費用も時間も掛かりますが、その後のメンテナンス費や耐久性を考えれば、子供たちに残してあげられる財産になると思いませんか。豊かな社会にするには、こうした考えが必要だと私は思います。
こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
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