カナダ州政府及びカナダ大使館から招請された資材視察ミッションで、アトランティック・カナダに来て今日で4日目。
ずっと集団行動で建材会社の見学をしてきましたが、今日は初めての単独行動。現地の主催者が、参加者の希望を聞いてそれぞれが行きたいという場所に連れていってくれたのです。
ということで、ニューブランズウィック州のモンクトンからトライアングルキッチンとショーブリックの2社へ行ってきました。昔、トライアングル社はそれ程カタログも充実しておらず、田舎のキッチン屋さんといった感じでしたが、相当クオリティが上がっていました。
まあ、価格や梱包、輸送等の問題を今後チェックしていかなければなりませんが、使えそうな気がします。
それはさて置き、今日は積みレンガを製造しているShaw Brickの話をしたいと思います。このメーカーは、赤毛のアンで有名なプリンス・エドワード島(PEI)に程近い場所にあり、PEIの赤い土と同じ土壌の粘土を使っています。
遠く赤毛のアンの故郷の土が、自宅のレンガ外壁になるなんて、何てロマンがあるんでしょう。それだけでも素敵ですよね。
この会社には、以前も行ったことはあったのですが、今回は工場内を詳しく見せて頂きました。ここで見たものは、本当に貴重な経験となりました。
話を聞いて驚いたのは、圧縮強度と水の浸透率。圧縮強度は55MPa以上だそうですから、Psiに直すと約8,000Psi。ある高圧洗浄機の最大吐出圧力が7.5MPaだそうですから、その約7倍以上の力が掛かっても大丈夫ということになります。
これは、高く積み上げるレンガにとっては、非常に重要なチェックポイントです。
また、製品として許容される水の浸透率は、冷たい水に24時間浸けて8%を越えないというレベル。ですから、雨で濡れただけでは、30分もしないうちに乾いてしまうのも頷けます。赤レンガでのデータですが、24時間レンガを水に浸した状態で吸水率は1~3%ですから、雨ごときでは何ともないと言えるでしょう。まさに、陶器の土鍋と同じです。
これを可能にしているのが、カナダの赤い粘土と高温の焼き入れです。粒が細かく粘土に含まれる空気が少ないので、焼くとその粒子が溶けて更に密度が上がって堅くなり、雨などの水が入り込む余地がなくなるという訳です。
他のシリーズのレンガと比べて赤いレンガは、比較的短い時間で焼成するらしいのですが、それでも3日間窯に入れて焼き上げます。最初は、500℃の状態で入れるのですが、ゆっくり温度を上げて最終的には2,000℃近い温度となります。
ゆっくり温度を上げて長い時間でないといけないのは、最初から高温だと温度が中まで伝わる前に表面が焼けてしまいます。その場合、表面が焼けても中身はしっかり焼けません。料理と同じで、中心部が生焼けになるのです。
都度の焼く工程でサンプルを取り出して、状況を確認しているそうですが、今回はそれを見せてもらいました。この鉄のように真っ赤に焼けたレンガを見るとすごい手間を掛けていいものを造ろうとしている姿勢が窺い知れます。
こうして手間暇を掛けて造られたカナダのレンガが、海を渡って皆さんの輸入住宅の外壁に使われたら、きっとご縁や愛着を感じますよね。こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。
<関連記事>:何故、コストが高いカナダ製レンガを使うのか? (2011年4月14日)
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